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『聞く、書く。』第7号が出来ました

聞く書く7号表紙


聞き書き人の会の会報誌『聞く、書く。』第7号が出来ました。

介護や医療の分野で取り入れられるようになり、岡山県内でもどんどん広がりをみせている「聞き書き」。「聞き書き」にはどんな魅力があるのか、また「聞き書き」がもたらす効用とは?
戦前の生活、戦争体験、空襲の記憶、家業や趣味など、年代も生きた場所も違う人たちの、自身の言葉で語られる人生、生きるエネルギーを感じさせる9作品を収録しています。
昨年10月には作家の小田豊二先生を迎え、2回目の聞き書き講演会を開催。テーマは「聞き書きにおける不思議な力、バタフライ効果」。その講演内容も収録しています。

【巻頭言】「不安」にあふれた「未来」を希望あふれるものにするために 山川隆之
聞き書き/山道が結んだ縁 中司廣志
聞き書き/4人組の山奥の小僧たち 古宮真由美
聞き書き/津山線列車への空襲と岡山空襲 辻 眞帆
聞き書き/ボクサー、ノリ ― 逆転の転機 正保潤子
聞き書き/あの頃のこと ― いつの間にか戦争へ 文屋 泉
聞き書き/演劇と私 小山明子
聞き書き/水島が爆撃を受けたとき 5歳じゃった 小山博子
聞き書き/務さんが愛したフォークダンス 人見裕江
聞き書き/神楽屋の女房 佐藤伸隆
講演会記録/聞き書きにおける不思議な力、バタフライ効果(作家:小田豊二)
随想/「聞き書き人の会」に参加して 黒部麻子

私たち聞き書き人の会は、地域で暮らす人たちの人生を、聞き書きを通して後世に伝えようと、2011年4月に発足しました。以後、毎月1回岡山県立図書館で例会を開き、「聞き書き」の意義・役割などを学び、「聞き書き」の楽しさ・魅力を知りました。また、ワークショップなどを通じて、インタビューや原稿のまとめ方など、「聞く」「書く」ための基本的な技術を身につけてきました。

『聞く、書く。』第7号
聞き書き人の会 (編著)
発行 聞き書き人の会
発売 吉備人出版
仕様 A5判 並製本
ページ数 171ページ
価格 本体500円+税
お近くの図書館、または書店でお尋ねください。
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2019年版吉備人出版図書目録

吉備人出版2019年版の図書目録ができました。

新書版152ページ。
1995年から2018年12月までに発行した約670点の本を紹介しています。
吉備人の歴史であり、当社のアーカイブです。
巻頭には、拙文「毎日『今朝の一冊』を書き続けてわかったこと」を書かせてもらいました。

既に手元に届いたという方も多いかもしれません。
もし、届いてなくて、欲しいなという方はぜひご連絡ください。
お送りします。

(図書目録巻頭原稿の転載)
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毎日「今朝の一冊」を書き続けてわかったこと

2013年から公益財団みんなでつくる財団岡山が主催する「ソーシャルライター講座」の運営を手伝っている。ソーシャルライターとは、「社会の課題やのその解決のための取り組みを『じぶん目線』で発信する人」のことを指す。簡単にいえば、例えば地域再生や福祉、障害者の雇用といった社会課題の解決をめざして取り組んでいる人たちが、日々の活動に、ブログやYouTube、TwitterやFacebook、Instagramといったソーシャルネットワークサービス(SNS)を活用して、さまざま交流の促進、情報発信を図ろう、そしてそのためのスキルをアップしていこうというものだ。
講座では、インタビュー実践とライティング実践、相互添削と講師による添削指導を通じて、伝わり、響き、動かす文章が書ける「ソーシャルライター」を目指す。今年度で6回目だ。
昨年度のこの講座の実践編で、教室の受講者たちと一緒に倉敷で活動するNPOが運営するカフェを訪ねた。そのNPOのリーダーたちに話を聞き、原稿にまとめ、その原稿をSNSにアップしていこうというカリキュラムだ。
障害を持つ子どもを育てる親を支援しているそのNPOは、ホームページやブログだけでなく、Facebook、Instagramなどを駆使して、精力的に情報発信を行い、当事者(親たち)の居場所をつくり、耳を傾け、行政や地域を動かしている。
広報・情報発信を担っているNPOの代表者のAさんに話を伺いながら、日々の活動のなかにSNSを使った情報発信という作業が、あたり前のように組み込まれていることを実感した。
「よく、そんなにマメに原稿を書き、写真をアップできますね」と尋ねると、「動きのない、更新のない情報サイトは死んだものとみられるんじゃないかと。日々のちょっとしたことでもこうやって発信することで、動いている=生きていることを伝えられると思うのです」という返事が返ってきた。
確かに、このNPOの情報発信力は、身近に知っているいくつもの団体・NPOのなかでも、その情報発信頻度、バラエティーに富んだ内容は際立っている。そしてそれは、新聞、テレビなどマスメディアでの取り上げられ方や自治体からの依頼による協働作業など、活動の社会的な影響力に確実に結びついていた。講師役で参加しながら、模擬取材を通じて教えられることも多く、大きな刺激になった。

この講座での取材をきっかけに、自分自身も何かはじめようと、Facebookで「今朝の一冊」というタイトルの投稿を昨年(2018)11月から始めた。毎朝、棚から一冊の本を取り出し、写真を撮影し、簡単な文章を添えてアップする。文章量は約200文字から300文字。時間にして15分から20分だ。
紹介するのは、とりあえず自分の書棚にある本。例えば『すいません、ほぼ日の経営』とか箕輪厚介『死ぬこと以外かすり傷』など、奥付の発行日と同じタイミングで紹介している最新刊のものもあれば、小学校時代に読み、読書体験の原点ともなったケストナーや後藤竜二なども取り上げた。雑誌や図書館で借りた本の場合もあり、何を紹介するか、その選書理由は特に決めているわけではない。
「今朝の一冊」は、本の紹介だけでなく、その本を手にしたきっかけやその本にまつわる記憶や私事を書くこともある。2017年11月22日から一日も休まず書き続け、2018年の12月11日まで続いた。ただ、385回で一端お休みしている。
この間、何度かやめようかなとも思ったのだが、「紹介されたその本を読んでみます」とか、「私も大好きな作家です」などというコメントをもらった。1年間も続くと、不思議なくらい毎朝読んでくださる方がいて、休めなくなったというのが正直なところだ。「いいね」のサインはないのに、顔を合わせると、「いつも今朝の一冊を楽しみに読んでいるよ」と声をかけてくれる人が、何人もいたことにはびっくりした。
そういえば、あるノンフィクション作家の自分史の本を紹介したところ、「この著者は最近ヘイト本を書いているよ」を忠告されたことがある。自身の不勉強を恥じることもあったが、こうした反応も読んでくれる人がいるからで、読者の存在がとても励みになったことは間違いない。
このように、1年間、毎日書き続けたことで、いろんな出会いや発見があった。
学生時代の友人や若い仕事仲間、一冊の本を介していろんな人と交流で広がったのだ。と同時に、自分の書棚にある本一冊一冊が自分自身なのだなと、改めて感じた。
そして「今朝の一冊」を書きながら、「これは本の紹介という名の自分史、自伝なんだ」と思うようになった。いつごろ、何を読み、何に感動したのか。書棚にある本を手に取ると、そのときなぜこの本を手にしようとしたのか、そのとき何を考えていたのか――何らかの理由がそこにあった。その一冊を選んだこと、そのことが自分自身にとってとても大切なことだということがわかった。
小学校時代に手にしたケストナーやリンドグレーンといった海外の児童文学。堀江謙一『太平洋ひとりぼっち』を読んでから冒険ノンフィクションに心躍らせた中学校時代。高校時代は新潮文学全集でロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』など古今東西の古典をつまみ読んだ。大学時代は社会科学やサブカルチャーなど幅広くカバーし、新聞記者時代には斎藤茂男、本田勝一らノンフィクションの名作が仕事の手本となった。そして、出版をはじめた頃には、あんばいこう、森まゆみといった小さな出版社を興した先人たちの苦労話が参考になり、励みとなった。
生まれてきて、姉、兄がいたせいで、まだ文字が読めるか読めないかのうちから本は身近な存在だった。幸い、本さえ読んでいればあまり文句を言わなかった両親に育てられたこともあり、本だけは手元にどんどん増えていった。本棚を占領する本の背表紙を見ているだけで幸せな気分に浸ることができた。
もちろん目の前にある本を全部読んでいるわけではない。読んだ本が頭に入っているかといえば、そうでもない。ただ、今の自分がこうしてあるのは、こうした書棚にある本が、何らかのかたちで影響している。本の存在が血となり、肉となっているに違いない。ヒトをひとりの人間に育ててくれるもののひとつ、それが本ではないかと、今改めて思う。

この20年、本をめぐる環境は大きく変化した。「読者(活字)離れ」「出版不況」「本屋の危機」……出版と本を読む環境は、ため息の出るような文字ばかりが並ぶ。それでも人は本を手に取り、学ぼうとする。やすらぎを得ようとする、明日も頑張ろうという気になる。
一冊一冊の本が自分という人間を育ててくれたとすると、本をつくることを生業にしたことの責任と重さを感じないわけにはいかない。その一冊を編み、それを必要としている人へ届ける――このことを営みとし、喜びを感じるあいだは、もう一年頑張ってみようかなと思っている。
2019年、いろいろな変化が起きそうな1年になりそうです。ことし吉備人は創業から24年目に入ります。


芦屋に行く

今朝の一冊376
梅田卓夫『中高年のための文章読本』(ちくま文庫)
今朝の一冊376

自分史をまとめたいという知り合いがいるので一度話をと、昨日(12月1日)、兵庫県芦屋市に行った。
初めて訪れたが、うわさに聞く通り美しい家並みとベンツやアウディ、BMWなど高級外国車の多いまちという印象。こぢんまりとした静かないいところだった。
自分史の相談のあった女性は、岡山市内の生まれだが、長じてはずっと関西圏で暮らしてきたという。近くに住む娘さんの協力もあり、少しづつ話を伺いながらまとめていきましょうということになった。

本書はタイトル通りの文章読本。
「自分にしかかけないことを」「だれにもわかるように書く」ことを強調する。
これに習えば、「あなたにしか語れないことを聞かせてもらって」「だれにもわかるように書く」というになるのだろう。

鶴見俊輔『もうろく帖』後編

今朝の一冊374

鶴見俊輔『もうろく帖』後編(編集シューレ)
今朝の一冊374


県立図書館で偶然見つけた。
文庫本サイズの上製本というのは珍しいが、著者のメモ帳のような雰囲気を醸し出している(実際はどんなメモ帳だったかはわからないが)。
書かれているのは年月日と数行のメモ。短歌であったり、読んだ本からの抜き書きであったり、思いついたことだったり。前後になんの解説もないけれど、著者の頭の中や精神が映し出されている。

2001年11月8日「歩いても 歩いても まだ先がある」
2005年5月23日「自分で考える そのとき 人は引用文に負けない」

こんな言葉を残していける大人になりたい。

古文書の世界へ

新刊『玄々斎随筆-墨匠・松井元泰の遺書-』(竹林榮一編)。
昨日ラジオで本書を紹介するにあたり、読んでみたが(担当が違うのでゲラをちょっと見た程度だった)、すごい本だということを改めて認識しました。

A4サイズ、上製本、102ページの、とても上品な本です。
タイトルの「玄々斎随筆」という筆で書かれた文字、書道をしている方でないと読めません。
サブタイトルは「――墨匠・松井元泰の遺書-」とあります。
江戸時代の墨職人、習字に使うあの墨、墨を作る職人さんが残した文章です。
中をみてみると、筆で書かれた玄々斉さんの文書の写真です。
あまりに美しい文字過ぎて、読めません。
ですから、古文書に強い著者の竹林榮一さんと古文書を楽しむ会のメンバーのみなさんが翻刻してくださった文章「読み下し文」が、その下に書かれています。
つまり原文の古文書は読めなくても、大丈夫です。

で、どういう内容かというと、江戸時代の半ば、日本の墨づくりを飛躍的に発展させた墨職人というのが、この人・松井元泰(まつい・げんたい)という人で「玄々斉(げんげんさい)というのは号、1689年~1743年に生きた人です。
現在も続いている奈良墨の老舗・古梅園の6代目当主だった人です。
当時では生産が廃れて、中国製に頼っていた「松煙墨(しょうえんぼく)の復興や、わが国では初めてとされる墨の図録『古梅園墨譜』の編者として知られた方だそうです。

この随筆は、もと岡山県立博物館の副館長だった竹林榮一さんが、インターネットのオークションで見つけて入手。
竹林さんが代表を務める「古文書を楽しむ会」おメンバー10人と解読に取り組んだというわけです。

内容は、98ページ、780行にわたって、子孫への戒めや墨の歴史、墨づくりの歩みなどが書かれています。
例えば、松煙墨の復興では、熊野の樹齢千年の松を燃やし、煤を取り、膠を精選し、墨を作り、それば古梅園発展の基礎となったとか、中国の高い技術を学ぶために、長崎へ出向いて中国人から教えを乞うたとかのエピソードが。

なかでも、将軍吉宗に献上されて江戸で死んだベトナムの象の皮が、死後1カ月もたたない打ちに古梅園に渡され、それを膠として墨をつくり「香象墨」として幕府に献上されたという。
しかし、その元泰は、その墨の完成をみることなく死去したという。


古文書を読めると、こんなドラチックな話を読めるんですね。
ちなみに本書の帯には、あの磯田道史氏が手書きの筆文字で「これほど興奮する一次資料はない」という一文を寄せています。

これだけでも価値があるかも。
古文書なんて……を思う人も、ぜひ手に取って、その世界を垣間見てはいかがでしょうか?

玄々斉随筆
プロフィール

kibitopub

Author:kibitopub
山川隆之
編集者、吉備人出版代表。1955年岡山市生まれ(旧姓・長井)。岡山市立操南小学校—倉敷市立大高小学校から、倉敷市立南中学校・県立天城高校・三重大学農学部卒業。伊勢新聞記者、備北民報、生活情報紙「リビングおかやま」編集長を経て95年に株式会社吉備人を設立。『絵本のあるくらし』『おかやまの建築家』『のれん越しに笑顔がのぞく』『粘着の技術−カモ井加工紙の87年』『強く、やさしく、面白く』などの編集を担当し、吉備人出版としてこれまでに23年間で約630点を出版。日本出版学会会員、デジタルアーカイブ学会会員、岡山ペンクラブ会員。2012年に福武教育文化賞奨励賞、2013年に岡山市文化奨励賞(学術部門)を受賞。RSKラジオ「ごごラジviviっと!」ゲストパーソナリティー。著書に『岡山人じゃが』(共著)など。

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