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見た目厳ついおっさんの写真集にあふれるやさしいまなざし

2020年4月21日

少し曇り空の中、6時半ごろから散歩。
このところ、朝ジョギングするランナーが少し多くなったような気がする。
外出自粛が続く中、やはり気分転換でもという人が多いのかもしれない。
桜はほぼ散ってしまったが、若葉がどんどん緑を濃くして美しい。
午前中に新刊の写真集『オレが覗いて来た介護最前線』(野田明宏)が届く。
A5判横サイズの上製本。
モノクロで、介護する人、される人を結ぶ心の糸を写している。
野田さんの本は4冊目で、これまではアクの強い岡山弁原稿に悪戦苦闘だったが、写真集は比較的スムースにいった。
クラウドファンディングで多くの応援者がいる、こういう写真集を待ち望んでいた人もたくさんいることがわかり、それが力になったのだと思う。

IMG_4648.jpg

昼休みにスタッフ全員そろって会議。
顔をつきあわせないように、自席でのミーティングなので、大きな声でないと伝わらない。
今日の大きな議題は、このコロナウィルスの状況を吉備人としてどう乗り切るか、について。
仕事のキャンセルや書店の相次ぐ休業などで、われわれの業界でも影響が出始めてきた。
ゴールデンウィークも近いことだし、いっそ長期に休んでもいいかなとも思ったのだが、ほかのみんなからは、細々でも業務を続けていこうという意見でまとまった。

『そらまめかぞくのピクニック』の2刷りが昨日できあがってきた。1000冊刷ったのだが、たまっていた注文分を発送すると、手元にはほとんどなくなってしまった。
夕方、休館になった県立図書館へ予約本を取りに行く。閲覧はできないが、予約本を受け取りいくこと、返却することはできる。
順路なども決まっていて、入室できる場所も制限している。周辺の人影、車の数は少なくなってしまった。
明日水曜日は、お昼にレディオモモ、3時過ぎからはRSKラジオでの本の紹介があるのだが、どちらもスタジオへは行かず、電話での出演となる。電話は初めてなので、マイクの前に座るより緊張しそうだ。
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写真集「介護の現場」(仮題)の打ち合わせ

毎週木曜日の朝はスタッフ全員で事務所の掃除。
ただ、その日までに取次店から返品された段ボールがあると、それを開封し、返品された本のチェックと棚へ戻す作業をしている。
今日は1箱の返品。多い日は5、6箱あるときもあり、伝票と付け合わせするだけでもたいへんな作業になる。


昼前に写真集の打ち合わせにライターで写真家の野田明宏さんが来社。5月末の刊行を目指して写真集を出版するので、その詳細打ち合わせ。介護職をしながら写真を撮り続けて、介護する人、介護される人との交流をモノクロ写真に描いている。
野田さんはぼくと同世代で、これまにも3冊一緒に本をつくっているので、互いに遠慮はない打ち合わせになる。

昼飯は、よく行くうどん屋「たぬき」へカレーうどんを食べに行く。ちょっといつもの熱さが物足りなかった。少々残念。
午後から、この春完成予定の社史の編集作業。膨大な写真の整理し、関連する文章の周辺に配置し、その写真説明を書く。

PCに向かっての編集作業の合間に来客が2人。

野田明宏

『聞く、書く。』第7号が出来ました

聞く書く7号表紙


聞き書き人の会の会報誌『聞く、書く。』第7号が出来ました。

介護や医療の分野で取り入れられるようになり、岡山県内でもどんどん広がりをみせている「聞き書き」。「聞き書き」にはどんな魅力があるのか、また「聞き書き」がもたらす効用とは?
戦前の生活、戦争体験、空襲の記憶、家業や趣味など、年代も生きた場所も違う人たちの、自身の言葉で語られる人生、生きるエネルギーを感じさせる9作品を収録しています。
昨年10月には作家の小田豊二先生を迎え、2回目の聞き書き講演会を開催。テーマは「聞き書きにおける不思議な力、バタフライ効果」。その講演内容も収録しています。

【巻頭言】「不安」にあふれた「未来」を希望あふれるものにするために 山川隆之
聞き書き/山道が結んだ縁 中司廣志
聞き書き/4人組の山奥の小僧たち 古宮真由美
聞き書き/津山線列車への空襲と岡山空襲 辻 眞帆
聞き書き/ボクサー、ノリ ― 逆転の転機 正保潤子
聞き書き/あの頃のこと ― いつの間にか戦争へ 文屋 泉
聞き書き/演劇と私 小山明子
聞き書き/水島が爆撃を受けたとき 5歳じゃった 小山博子
聞き書き/務さんが愛したフォークダンス 人見裕江
聞き書き/神楽屋の女房 佐藤伸隆
講演会記録/聞き書きにおける不思議な力、バタフライ効果(作家:小田豊二)
随想/「聞き書き人の会」に参加して 黒部麻子

私たち聞き書き人の会は、地域で暮らす人たちの人生を、聞き書きを通して後世に伝えようと、2011年4月に発足しました。以後、毎月1回岡山県立図書館で例会を開き、「聞き書き」の意義・役割などを学び、「聞き書き」の楽しさ・魅力を知りました。また、ワークショップなどを通じて、インタビューや原稿のまとめ方など、「聞く」「書く」ための基本的な技術を身につけてきました。

『聞く、書く。』第7号
聞き書き人の会 (編著)
発行 聞き書き人の会
発売 吉備人出版
仕様 A5判 並製本
ページ数 171ページ
価格 本体500円+税
お近くの図書館、または書店でお尋ねください。

取材力、編集力が試される社史づくりが好きだ

161026朝日社史原稿

一昨日(10月26日)付けの朝日新聞に「社史づくり未来の力に」という全ページの記事が掲載されていた。
朝日新聞の自分史サービスに「社史サービス」というものがあり、そのPRを兼ねた記事だが興味深いものだった。
その中で、神奈川県立川崎図書館が、1万8000点の社史、周年史を所蔵していて、「社史室」を設け一般公開しているという。
一般の人には縁のなさそうな社史をなぜ公開するのか。
「読み方次第ではいろいろな発見があります。(中略)実は地域の歴史を知るのにも役立つのです。また、テーマを設けていくつかの社史を横断的に見ると、ビジネスや防災対策などのヒントがえられます」(司書・高田高史さん)
まったく同感。

この数年、年に数冊ずつ社史編纂の仕事をいただけるようになった。
これまでに岡山ガス100周年記念史、下津井電鉄100周年記念史、瀬戸桜保育園90年史、カモ井加工紙87年史、丸五ゴム工業の60年史、ダイヤ工業50年史、備南工業50年史、おかやま工房30周年史、アルマ経営研究所30年史などにかかわってきた。
規模や業種はさまざまだが、企業の歴史の背景には、世界や日本、そして地域の歴史と密接にかかわっていると感じることが多々ある。
今年も6月から蜂谷工業の100周年史編纂をお手伝いしている。100年といえば、日本の総合建設業創世から戦後の急速な発展、バブル崩壊、リーマンショック後の低迷、そして再浮上の兆し……。とかく談合や政治との癒着など社会から叩かれることの多い業種だが、経営トップやOB社員の方、現場の一線で頑張っている所長さんらの話を聞いていると、地域づくりやインフラ整備に、真剣に向き合い、情熱を傾けていることがよくわかる。
しかも、社史には書きにくい話もたくさん出てきて、下手な小説よりもよほど面白い。

文献や資料探しからその読み込み、関係者やOBの方々への聞き取り、インタビュー、写真撮影……取材力、編集力の問われる仕事だけに、「社史」の仕事は面白く、楽しいことが多い。
そして、企業側の担当者の方々とは、長期間にわたって共に苦労するからか、気心の知れたいい関係になることができるそれもまた社史の仕事の魅力でもある。

インタビューだからこそ 伝わってくる言葉

151029朝

今朝(10月30日)、散歩をしながらRSKラジオで「倉敷段通」の職人・瀧山雄一さんの仕事を紹介していたのを聴いた(歌のない歌謡曲「あっぱれ!晴れの国の匠の技!」)。

21年前、「リビングくらしき」の編集長をしていた時、瀧山さんを取材したことがある。
柳宗悦が見いだし芹澤銈介が図案化した段通は、ぬくもりのある手触りが特徴で、和室にも洋室にも合う。
「倉敷段通」のことを知ったのも、その取材を通じてだったが、その伝統を受け継いで職人の世界に飛び込んだ、
若い瀧山さんの仕事ぶりをフロント(1面)で特集した。
リビング新聞時代、何本もフロントの記事を書いたが、その記事のことは今もよく覚えている。
そのときに買った段通の敷物は、今も我が家の靴箱の上に敷いている。

廃れかけていた倉敷を代表する民芸品である「倉敷段通」を、22年前から受け継いできた瀧山さんは、「職人が手間暇かけてつくるものには魂が込められているんです」と話していた。

この言葉を聞いた時、一昨日の夜テレビで見た、備前焼作家・森陶岳を追ったドキュメント(RSKテレビ「メッセージ」)を思い出した。そのなかで、森陶岳さんは「この大窯には神様が宿っている」といったような内容のことを話していた。

「魂を込める」「神が宿る」……文字にすると、なんだかいやらしいが、職人や作家〈本人から発せられる言葉〉だけに、ストンと納得してしてしまった。日ごろは魂とか神様を信じないくせに。
これが、取材者が取材した結果まとめた言葉だったとたら、どうだろう。ここまで心に響いてくるだろうか。
ナレーションではなく、当事者本人の言葉としてスッと出てきた言葉をすくいとっているから、ぼくの中に入ってきたのではないかと思う。

ワンクッション置かざるを得ない活字メディアでは、こうした「スッと」出てきた言葉を、伝えることは難しい。
仮に再現できたとしても、こうして文字にすると気取ったり、気障なセリフになってしまいそうな気がする。
活字メディアにはない、テレビ、ラジオのインタビューの力を垣間見た気がする。

さて、この言葉を耳にして、我が身を振り返ってしまった。
瀧山さんのように、つくっている本に魂を込めているか、森陶岳さんのように神が宿るまで、本づくりに向き合っているか――。

「この本には編集者の魂が込められていますから」
胸を張ってこういえるような仕事をしなきゃあなあ……と、歌のない「Tomorrow never knows」を聴きながら、朝から気合いが入ってしまった。


プロフィール

kibitopub

Author:kibitopub
山川隆之
編集者、吉備人出版代表。1955年岡山市生まれ(旧姓・長井)。岡山市立操南小学校—倉敷市立大高小学校から、倉敷市立南中学校・県立天城高校・三重大学農学部卒業。伊勢新聞記者、備北民報、生活情報紙「リビングおかやま」編集長を経て95年に株式会社吉備人を設立。『絵本のあるくらし』『おかやまの建築家』『のれん越しに笑顔がのぞく』『粘着の技術−カモ井加工紙の87年』『強く、やさしく、面白く』などの編集を担当し、吉備人出版としてこれまでに27年間で約780点を出版。日本出版学会会員、デジタルアーカイブ学会会員、岡山ペンクラブ会員。2012年に福武教育文化賞奨励賞、2013年に岡山市文化奨励賞(学術部門)を受賞。RSKラジオ「ごごラジviviっと!」ゲストパーソナリティー。著書に『岡山人じゃが』(共著)など。

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