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1月24日放送原稿から

毎週火曜日の午後1時から3時半までの2時間半、RSKラジオで「ごごラジViviっと!」という情報番組のパーソナリティをやっている。
この春で丸3年になる。
毎週、こんな原稿を用意して放送にのぞんでいる。

今日1月24日放送原稿から

今週のテーマ★気になる雑誌
インターネットの普及で雑誌は苦戦を強いられている。
それでも、新しい雑誌は創刊され、時代に対応し特集や企画が組まれている。

先々週、よく行く万歩書店平井店の店長から「ワンダーランド」「宝島」の休刊から、74年に復活した植草甚一編集「宝島」が6巻まとめて入手したが、興味ないですか?」という連絡をもらい、その週の日曜日に入手してきた。
ぼくにとっては見たことのない「マボロシの雑誌」で、70年代のサブカルチャーの熱い空気が充満しているのを感じる。

古い雑誌といえば、昭和23年の創刊から「暮しの手帖」の創刊からの編集長で、昭和53年に心筋梗塞でなくなるまで編集長を務めた花森安治が、生誕100年ということで、関連本が数多く出版されている。

『花森安治のデザイン』(暮らしの手帖舎)
『花森安治の戯文集』(JRC)
KAWADE夢ムック『花森安治 美しい「暮しの」創始者』(河出書房新社)これは購入。
花森さんのものでは、酒井寛『花森安治の仕事』がベストだと思っているが…。

★最近買った雑誌
『ケトル』(太田出版)
『ケトル』は、「本屋大賞」などの立ち上げに携わってきたクリエイティブディレクターの嶋浩一郎が編集長に就任し、「最高に無駄が詰まった雑誌を目指して」をコンセプトに、様々なカルチャー情報を発信していく」(同社HP)雑誌なのだそうだ。
昨年暮れに買った12月号は、「こんな会社が好き!」という特集で、従業員30人以下のすごい会社大特集。ミシマ社や東京チェーンソーなどが紹介されている。


『自遊人』(自遊人)
自遊人は2000年11月創刊の食・旅をテーマに中高年を中心とした読者から支持を得ているシニア向けライフスタイル誌。編集長の岩佐十良は"米作りと雑誌作り"の2足のワラジを履く編集長。この生き方には惹かれる。
2005年に編集部を東京の日本橋から新潟県南魚沼市に移したそうで、雑誌発行の傍らスタッフ全員で2反の田んぼを借り“極上の米作り”を続けている。そういえばテレビ『情熱大陸』で見たことがある。
雑誌づくりだけでなく、お米の通信販売など、立体的な業務も平行して行っている。
地方に編集部を置き、こうした実業にまで踏み込むというのも、これからの雑誌スタイルかもしれない。

★本をめぐる今週の話題から
1月22日付け朝日新聞の「ザ・コラム」。
アメリカで、一軒の書店が店をたたむ決心をしたところ、住民が支援して再出発したという。
また、同じアメリカで、街に書店がないことを嘆いた住民が書店を開店させた。
コラム氏は、「いくらデジタルが便利でも、私たちの暮らしには消えていいものと、消していけないものとがある」「何もかもオンラインで買えることを無邪気い喜ぶだけの時期はもう卒業したいと思う」と結んでいる。

本屋さんは、街から消してはいけない…もの、なのだ。

★かけた音楽
オープニング(1時台)
雪が降る日に/南こうせつとかぐや姫
アローン・アゲイン/ギルバート・オサリヴァン
(2時台)
あなたの空を飛びたい/高橋真梨子

★ごごジャズ
ボビー・ハケット~ジャック・ティーガーデン「コーストコンサート」から
3曲目「ザッツ・ア・プレンティ」
6曲目「アイ・ゲス・アイル・ハブ・トウ・チェンジ・マイ・プラン」

★今週紹介したアルバムは、ボビー・ハケット「コーストコンサート」。
デキシーからモダンまでこなした白人トランペット・コルネット奏者だ。
いまどき、ハケットを流す番組なんて「ごごジャズ」くらいかもしれんなあ。
ほとんどのリスナーが「WHO?」というでしょうね。
これも廉価版CDで彼の代表作『コースト・コンサート』(キャピトル)が出たおかげです。
多分、今回買いもらすと、当分出ないらしい。

★ハケットは、端正でリリカルな都会的なトーンの、いかにも洗練された「白人ジャズ」といったところが特徴です。師と仰いだのも、白人のビックス・バイダー・ベックです。
しかし、名だたるジャズメンのもとで力を発揮しました。
ルイ・アームストロング、グレン・ミラー、ベニー・グッドマン、トニー・ベネットらと吹き込みを行っています。
中音域の魅力で、ボーカルにつけたオブリガートがうまい。
本アルバムでも、デキシー・トロンボーン・の大御所、ジャック・ティーガーデンの余興の範疇を超えたボーカルにうまく着いています。
粟村政昭氏の『ジャズ・レコード・ブック』のティーガーデンの項に4行、「新しい録音のなかでは、ハケットと組んだ『コースト・コンサート』が出色の出来」との記述があります。「新しい」とされているのは、この吹き込みが1955年10月という、どっぷりとモダン・ジャズの時代のことだからでしょう。
そういう意味でもおもしろいアルバムです。
マイルズやコルトレーン、ロリンズがバリバリ活躍していた時代にこの音。
もちろん「コースト」にはペッパーやマリガンがいましたし…。

★曲は、賑やかな「ザッツ・ア・プレンティ」「アイ・ゲス・アイル・ハブ・トウ・チェンジ・マイ・プラン」などが楽しいです。
ハケットが自身で選んだメンバーで西に乗り込んだ、くらいです。

★モダン・ジャズの帝王、マイルズ・デイビスは、「白人の『ジャズ』なんて聴けるか」といって、聴こうとしなかったそうですが、唯一の例外が、ハリー・ジェイムスとハケットだったそうで、必ず聴いていたそうです。
このあたりもハケットの実力を示します。
 
★このアルバムで私が気に入っているのが、ジャケットです。
東から西へ、飛行機で乗り込んで来たぞと言わんばかりです。
コートにタバコ、小脇にかかえた革張り(ワニ革か)のコルネットケースがかっこいい。
後ろに見えるのはTWAの飛行機です。トランス・ワールド航空。いまはありません。
この航空会社、富豪のハワード・ヒューズがオーナーだったこともあり(ディカプリオ主演の映画『アビエイター』でこのあたりは紹介されています)、歌手や俳優がしばしば利用した。
したがって、アルバムジャケットに登場する頻度も多いのです。

★有名なところでは先週末、TV放送のあった邦画『ハッピー・フライト』のテーマ曲、シナトラの「カム・フライ・ウィズ・ミー」の入ったアルバム。ばっちりTWAが描かれているそうだ。

★余談ついでにいえば、放送2日前の1月22日は「ジャズの日」だそうです。
1月はJANUARYということでJA、22日はZZに似ているということでJAZZ。
こじつけですが、2001年にクラブ・オーナーなどによって制定されたとか。
まったく関係はないけどね。



 

サイダーに生卵

毎週火曜日はRSK「ごごラジviviっと!」の放送日。
本日のテーマは「夏といえば○○○」。
7月に入り、夏の楽しみを語り合いたいと決めたテーマ。
生放送の1時間半前から始まる打ち合わせで、「今日はメール、ファクスもたくさん来そうなテーマですね」と
誰ともなくつぶやく。

そう、このところのテーマは空振りが多く、リスナーからのお便りは少ない。
もともとさほど気にはしていないのだが、先週のように「これならきっとたくさん来るだろう」と決めた
「好きだった先生」があまり多くはなかったこともあり、
また、その前週の「学生時代に頑張ったこと」なども、ほとんど反応がなく、
そうすると、「ひょっとして火曜viviっと!ってだれも聴いてくれていないのじゃないか」という不安がよぎる。

相方の西田多江アナは、「暑いからかな~」とかいって半分慰めてくれるのだが…。

あまり、ストライクゾーンの狭い話題は避けようと、今日のような幅広いテーマにしたのだが、
放送を始まり約1時間たった1時台の後半になっても2,3通のお便り。
それをディレクターのM岡さんが申し訳なさそうにスタジオに届けにくる。

2時台の中ごろ、本来ならテーマに沿ってメールなりファクスを読む時間なのだが、いかんせんお便りが少ないため、西田さんと二人で「夏といえば○○○」的な話をしていた。
夏休みとかかき氷の話の流れから、子どものころ、友達の家でサイダーに生卵を入れて飲んだ話をしたら、西田アナも、M岡Dも聞いたことがないし、「それはないでしょう」という。
しかも西田さんは「サイダーに生卵入れて飲んだことある人、メールください」という。
予定外のことだったのだが、
不思議と反応が素早く、「オロナミンCと生卵なら飲んだことがる」というメールが立て続けに来て、
それから「サイダーでも飲んだことがある」という人も数人届いた。

いずれも常連さんの投稿ではなく、「初めてメールします」と書いている人もいた。

結局全員のメール、ファクスは読み切れないほど寄せられ、関係スタッフ一同びっくり。
聴いている人は確かにいることはわかったので、ホッとする。

しかし、どんな話題ならリスナーからの反応があるのか、ますます混迷を深めたのである。

ちなみにぼくがサイダーに生卵を入れて飲んだのは、小学5年生の夏休み。
当時倉敷に引っ越したばかりだったが、やっていたソフトボールの夏の大会が8月の後半に岡山市内であり、
チームメートの家に泊めてもらった参加していた。
1日目の試合が終わり、友人宅に戻り、夕方チームメートらと「お疲れさん」といわばサイダーで乾杯。
そのときに、スタミナをつけようと気を利かせてくれた友人のお母さん生卵を差し入れしてくれたのだと思う。
友人宅ではきっと当たり前のように飲んでいたのだろう。
ぼくは初体験だったが、冷たいサイダーは飲みたいし、生卵なら疲れも吹き飛ぶに違いないと右習えした。

その日の夜から激しい下痢に見舞われ、翌日の試合には半分も出場できなかったという情けない記憶が、サイダー+生卵とともに残っている。


プロフィール

kibitopub

Author:kibitopub
山川隆之
編集者、吉備人出版代表。1955年岡山市生まれ(旧姓・長井)。岡山市立操南小学校—倉敷市立大高小学校から、倉敷市立南中学校・県立天城高校・三重大学農学部卒業。伊勢新聞記者、備北民報、生活情報紙「リビングおかやま」編集長を経て95年に株式会社吉備人を設立。『絵本のあるくらし』『おかやまの建築家』『のれん越しに笑顔がのぞく』『粘着の技術−カモ井加工紙の87年』『強く、やさしく、面白く』などの編集を担当し、吉備人出版としてこれまでに27年間で約780点を出版。日本出版学会会員、デジタルアーカイブ学会会員、岡山ペンクラブ会員。2012年に福武教育文化賞奨励賞、2013年に岡山市文化奨励賞(学術部門)を受賞。RSKラジオ「ごごラジviviっと!」ゲストパーソナリティー。著書に『岡山人じゃが』(共著)など。

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