FC2ブログ

25年目の春

2019方針
吉備人はこの春、25年目に入ります。

新しい年度のはじまりです。
吉備人は、この春から25年目に入ります。これからの一年を無事乗り切れば、2020年4月が25周年というわけです。

先日、県内で郊外店を数軒経営されていた独立系書店の社長さんから電話をいただきました。
「残念なお知らせですが、○○店と○△店をそれぞれ5月と7月で閉めることになりました」という連絡です。
一時期は県南に5、6個所あった実店舗はすべて閉店。今後は雑誌のネット販売と外商に絞って経営を続けていくとのことでした。

もうひとつ残念なニュースですが、業界誌の『出版ニュース』が3月をもって終刊。70年続いた歴史に幕を閉じました。
書店や図書館、そして出版社にとってはとても重要なものだっただけにとても残念です。

本と読者を結ぶ接点は、急速に変化しています。
小資本の中小規模の独立書店は撤退を余儀なくされ、今後人口減少と伴い、本の売上は加速度的に減少するのではないかという不安を拭えません。

先日瀬戸内市民図書館で講演する機会を与えていただき、その内容を考えながら、地域出版の今後を考えました。
こうした状況のなかで、本をどうつくり、どのように読者に届けるか――いま、地域で本と携わるものとして、存亡をかけた問いを投げかけられているのではないか、そんな気がしました。

25年目に入り、その歴史の1ページを記すにあたって、吉備人の決意(のようなもの)を記録しておこうと思います。

本をめぐる環境の変化には対応しなければなりません。
でも、「本」をつくることは変わりなく続けます。
本とデジタルで地域の記憶を記録する。
それが吉備人の仕事であり、役割だと思います。

ローカルにはローカルの編集、出版社が必要だと言い続けてきました。
地域の本がないところに、地域の豊かな文化は育たないとも思っています。

本とデジタルで地域の記憶を記録する――25年目の吉備人を、今後ともよろしくお願いします。
スポンサーサイト



出版祝賀会でのスピーチ覚え

先日(3月26日)『夢紡いで 2』の刊行を記念しての祝賀会が、西口のANAクラウンホテルで開かれました。
本書の登場していただいた岡山・香川の各界を代表する人たちを招いての祝賀会。
発行者として、ひと言あいさつさせてもらいました。
以下、そのために準備していた原稿ですが、ほとんどこの通りには話せず、しどろもどろ。
本当はこんなスピーチをしようと思っていたんだという記録のために、原稿をアップします。


『夢紡いで2』刊行、おめでとうございます。
発行者の吉備人出版を代表して、ひとことごあいさついたします。
本書『夢紡いで』は、昨年の夢紡いでについで、シリーズ2作目です。
今回も51人の地域の各分野をリードするみなさまにご登場いただき、無事出版できたことを心からうれしく思っています。
編集にあたりましては、ご登場いただきました51人のみなさまには、原稿のチェックなどお忙しい中、お手を煩わせましたことを、この場をおかりしてお礼申し上げます。

同番組の取材に同行させていただき、本にまとめさせていただいている私ども吉備人出版は、この春から25年目を迎える地域をテーマにエリアの著者のみなさまと刊行しており、本書は、680冊目となります。

本は、テレビやラジオといったマスメディアのように、多くの人に即効性をもって伝わっていくものではありませんが、息長く、そして信頼性の高いメディアとして認知されていることは、みなさまのよくご存知のところです。

商品やサービスは、「すごく売れる」ことよりも「売れ続ける」ことのほうが難しいといわれます。「売れ続ける」ために必要なのが、ブランド力といわるものです。
ブランディングの方法はいくつもありますが、とてもたいせつなものの一つに「ストーリー」があります。企業や商品、サービスに伴う「物語」です。
ストーリーは、「志」「独自化」そして「エピソード」などによってかたちづくられます。
つまり、考えたり、閃いたり、偶然生み出されるアイディアなどではないのです。
トップであるみなさまが考えてきたこと、そしてこれまでに身の回りに起こった事実、歴史のなかにあるのです。

番組「夢紡いで」は、わずか2分間の間に、このストーリーに必要な「志」と「独自化」、「エピソード」が盛り込まれています。
したがって、ストーリーが活字になり、書籍になった本書は、みなさまのお仕事の有用なブランディングのツールとして、とても利用価値のあるものといえるのではないでしょうか。

4月には、本書は県内主要書店の店頭に並びます。Amazonなどインターネット書店でも購入できますから、県外の方、海外の方でも本書を手にとることが可能です。
昨年同様、RSK様は、テレビやラジオで本書の刊行を宣伝してくださることでしょう。
選ばれて番組にご出演していただき、本書に登場していただいたみなさまには、ぜひ本書を、社員、スタッフの方はもちろん、お客様や協力会社様などにもぜひおすすめいただき、自社のブランディングなどにお役立ていただけたらと思っています。

また、本書の刊行をさまざまな形で支えてくださったRSK山陽放送の原会長様、桑田社長様はじめスタッフのみなさまに心からお礼申し上げます。ありがとうございました。

本日はまことにありがとうございました。
夢紡いで2書影01


yume2_祝賀会190326SDIM1692

yume2_祝賀会190326SDIM1621

3日続けて出版記念会

先週末の金曜日(8日)は聞き書き人の会の例会があり、夜は会員のみなさんと第7号の刊行打ち上げの懇親会。新しい会員を迎え、新年度はどんな活動にするか、賑やかな会になった。
吉備路文学01

吉備路文学館02


翌9日の土曜日は、午前中、吉備路文学館で第28回少年少女の詩の表彰式。素晴らしい天気に恵まれ、受賞の子どもたちも保護者も晴れやかだった。明石館長があいさつで、表紙デザインのタケシマレイコさんと吉備人出版をねぎららってくださる。心遣いがうれしい。

御津医師会02

御津医師会01

夜は国体町のホテルで御津医師会の地域医療シンポジウムとその後の懇親会へ。懇親会は、『見放さないその命』の出版記念を兼ねていたので、参加させてもらう。執筆者の先生たちと壇上で編集の苦労話をさせてもらう。

10日の日曜日は、雨のなか午後から電車に乗り、倉敷へ。倉敷国際ホテルを会場に、高梁川流域学校備中志塾の講義録『「吉備」の歴史と伝統文化』の著者・神崎宣武先生の講演会とパーティー。111人が出席し、盛り上がる。
立場上、会の呼びかけ人に名前を連ねたため、神崎先生をはじめ大原美術館・大原謙一郎名誉館長や伊東倉敷市長、片岡総社市長と同じテーブルになり、はやり緊張した。とはいえ、和やかでいつまでも話の尽きない楽しい会だった。
備中志塾02

備中志塾01

「未来」を希望あふれるものにするために

先日刊行した『聞く、書く。』第7号。
巻頭にに一文を書かせていただきました。
聞く書く7号表紙


昨年(2017)年秋のことだ。鳥取市鹿野町で開かれている第10回鳥の演劇祭に行った。
鳥取市内から西へ車で約30分、岡山からだとちょうど3時間のドライブだ。
鹿野町は、戦国時代末期に形成された小さな城下町。武家屋敷のあった殿町、商人が住んだ上町、下町、鍛冶町、大工町などの町割や、町を巡る水路が400年以上たった今も残っており、当時の町並みが美しく保存されている。2004年に鳥取市に編入され、鳥取市鹿野町として、この美しい町並みを保存するため、地域住民も参加したまちづくりが進められている。
この町並みの一画に、鳥の演劇祭を主催する「鳥の劇場」がある。
鳥の劇場は、2006年1月、演出家・中島諒人を中心に設立。鳥取県鳥取市鹿野町の廃校になった小学校と幼稚園を劇場施設にリノベーションし、収容数200人の「劇場」と80人の「スタジオ」と呼ばれる2つの劇場を有する。「鳥の劇場」は、劇団の名称であり、劇場の“場”でもある。
「創る」「招く」「いっしょにやる」「試みる」「考える」の5本柱で年間プログラムを構成し、現代劇の創作・上演と併行して、ワークショップや国内外の優れた作品の招聘、レクチャーなどを実施している。
2008年から、地域や行政との協働による演劇祭「鳥の演劇祭」を実施。これまで韓国、中国、ルーマニア、イギリス、イタリア、フィンランド、フランス、ドイツ、ハンガリー、トルコ、アメリカなどからアーティストが参加するなどして、舞台芸術を柱にした国際交流を進めている。

駐車場となっているかつての運動場の隅っこに車を止め、たくさんの人が集まっている劇場のほうへ行くと、「ただいまからタイムスリップツアーが出発します」というアナウンス。促されるまま、急いで行列の最後尾に加わった。
通常演劇を観るといえば、劇場に入って席に着いてというイメージだが、この作品はちょっと違った。ガイドの案内によって鹿野の町を歩きながら、家の前や空き地などそこここで展開する短い芝居を観て、この場所のその時代を、観る人が体験するというものだ。
この日の演目は、鹿野タイムスリップツアー『マサオの光空』。地元鹿野町のお年寄りに取材してつくられたセミドキュメンタリー的演劇作品。
作品詳細によると、「今年取材させていただいたのは、学校の先生だった髙田昌雄さん86歳。昭和5年生まれの髙田さんが生きてきた時代、日本、鳥取、鹿野を、髙田さんの記憶を通じて描きます。鹿野という一つの地域の数十年前の風景は、状況の中での微細な一点に過ぎません。しかし、それは大きな時代のうねりのようなものに翻弄されながら懸命に生きる小さな人々の、時代や地域を越えた普遍的な姿として捉えることもできるのです。芝居を見ながら町を歩くうちに、空気や風や風景が、何十年も前のものに感じられて来るのが不思議なのです」とある。

これは、鳥の演劇祭の隠れた名物になっているという。2012年の第5回鳥の演劇祭ではじめて取り組まれた「鹿野タイムスリップツアー」は、コミュニティでつくる作品。作品づくりのために、まず鹿野で暮らす人たちに当時の話を聞きに行くことから始まる。その記憶をいろいろな人の話から掘り起こし、それを脚本にし、それをもとに町内各所で、俳優が昔の町の人を演じるという趣向なのだ。
つまり、脚本づくりの前段階で、「聞き書き」が取り入れられている。それを元に脚本がつくられ、それが芝居という形式で表現されるわけである。
舞台芸術の創造と「聞き書き」、おもしろい組み合わせだ。

2018年10月、聞き書き人の会では、作家の小田豊二さんを迎えて聞き書きの講演会を開いた。2016年に次いで2回目だ。小田さんは、聞き書き学校の教務主任として全国を飛び回っている。その依頼は年々増えて、週末にはどこかへ出かけては聞き書きについて語るのだそうだ。
特に、医療・福祉などの分野で聞き書きを取り入れるところが増えている。地元の大学の看護学科でも、看護師の卵たちが聞き書きを体験し、将来の看護に生かすのだという話も聞いた。
日本は今、少子高齢化が加速度的に進み、地域の消滅の危機が叫ばれている。
新見市大佐の実家のある地域では、数年前に小学校が閉校となり、駅前の商店も店を閉め、お宮の宮司さんが不在となり、人の住んでいない家も急速に増えてきた。稲作をやめ荒れ放題になった田んぼが、いつの間にか野山になり、集落は今にも消えて行きそうな勢いだ。
「これからどうなるのだろう」
漠然とした不安が、じわりと取り巻く。息苦しささえ感じる。

私たちは今、「未来」に対して不安を感じている。本来なら希望に満ちた言葉だったはずの「未来」が、決してあかるい光に満ちたものではない、そんな気さえする。今、私たちが「未来」を考える時、そのよりどころとなるものは何だろうか。何に依拠して考えればいいのだろうか。

2018年7月、西日本を襲った記録的な豪雨は岡山県内にも大きな被害をもたらした。特に倉敷市真備町の地域一帯が水に浸かった映像は、今も目に焼き付いている。川の氾濫や津波などの自然災害については、その地元に言い伝えなどが残っている。それは100年とか200年という長いスパンで発生する。
一世代も二世代も跨いでしまうので、その記憶は当然ながら薄れてしまう。この水害でも「そういえば小田川は危ないといわれていた」などという話はよく耳にした。だが、そうした懸念は、今回の災害を前にさほど力をなさなかった。もっと先人たちの言葉に、真剣に耳を傾けていれば。

新聞記事やテレビの映像、ネットメディアの記録など、その時代に起こったこと、その時代に生きた人の言葉を残しておくことの大切さを、今ほど感じることはない。
「未来は、後方にあり」――私たちが、これからの社会を描こうとする時、それは必ずしも真っ白なキャンバスではない。
既にいろんな模様や文字が書き重ねられた上に、「未来」を描くことになる。下地となる、歴史という絵によって、「未来」は明るく描けることができれば、暗い作品になってしまうこともある。
 未来を明るい、希望に満ちたものにするために、こんな時代だからこそ「聞き書き」というささやかな営みを、私たちはたいせつにしていきたいと思う。

鳥の劇場前

鳥の演劇祭2017


福山の書店へ在庫調べと営業

棚卸し2019-03


2月末が当社の決算。
一昨日、昨日と2日間かけて在庫棚卸し作業。
5人のスタッフ全員で、朝から夕方まで、
ウン十万冊の本を一冊一冊数える。
社内倉庫だけでなく、借りている近くの資料室に置いている在庫、製本会社に預かってもらっているものなども。

直接取引している書店さんへも在庫調査に行く。
今日は、福山の啓文社ポートプラザ店へ。
大きなショッピングモール内にある大型店で、客数も多い。
約1時間かけて在庫数を調べ、担当者にチェックしてもらう。
あまり立派な数字ではないが、歴史関係が売れている。
追加注文をお願いし、併せて新刊を数点お願いしたが、こちらはあまり芳しい返事をもらえなかった。

福山啓文社ポートプラザ190301

高速を飛ばして片道1時間半、実売5,6冊と委託扱い4点。
とはいえ、春本番のような暖かさのなか、眠気もなく快適なドライブだった。

昼ご飯を食べていなかったので、帰りの道口PAで遅めの昼食尾道ラーメン。
3時ごろだが、大型トラックの運転手さんで店はそこそこの賑わいだった。

福山啓文社ポートプラザ190301-02

プロフィール

kibitopub

Author:kibitopub
山川隆之
編集者、吉備人出版代表。1955年岡山市生まれ(旧姓・長井)。岡山市立操南小学校—倉敷市立大高小学校から、倉敷市立南中学校・県立天城高校・三重大学農学部卒業。伊勢新聞記者、備北民報、生活情報紙「リビングおかやま」編集長を経て95年に株式会社吉備人を設立。『絵本のあるくらし』『おかやまの建築家』『のれん越しに笑顔がのぞく』『粘着の技術−カモ井加工紙の87年』『強く、やさしく、面白く』などの編集を担当し、吉備人出版としてこれまでに23年間で約630点を出版。日本出版学会会員、デジタルアーカイブ学会会員、岡山ペンクラブ会員。2012年に福武教育文化賞奨励賞、2013年に岡山市文化奨励賞(学術部門)を受賞。RSKラジオ「ごごラジviviっと!」ゲストパーソナリティー。著書に『岡山人じゃが』(共著)など。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR