本づくりが成長の糧に

昨日の夕方、岡山県発達障害当事者会「わ」の会代表の福井豪さんが来社。
出来上がったばかりの本『「生きづらさ」を超えて』を手渡す。
その場面を取材したいと地元紙の編集委員の方も来社。
写真は、出来上がった自著を手に、執筆から完成までの1年を振り返る福井さん。
福井さんが、「本を出したいのですが、どうすればいいのですか」と紀伊國屋書店での出版相談に訪れたのは、昨年の8月25日。
福井さんは、自分自身が「発達障害」と診断され、高校を中退し、大検に受かって立命館大学から銀行に就職しながらも、仕事を続けることができず、現在は「障害者雇用」枠で岡大の図書館に勤務していることを話してくれた。
そして、発達障害のことを多くの人に理解してもらいたい、そして同じ障害を持っている人たちにメッセージを送りたいという、はっきりとした出版の目的も持っていた。
「といかく毎日書き続けてみたら…。昨日の続きではなく、今日書きたいことを書く。本の形にまとめるのは、それからのこと。3カ月続いたら、原稿を読ませてもらいます」と答えた。
「えっ?最初から書かなくていいんですか。それなら書けるかもしれないなあ」
パッと表情が明るくなったその時のことをよく覚えている。
…きっと彼は3カ月書き続けるだろうな、そんな気がしたことも。
(同じようなアドバイスをこれまでにも何度かしたけれど、書き続けた原稿をもう一度持って訪ねて来てくれた人はそんなにはない)
予想通り、ページ数にすると300頁を超える分量の原稿の束を持って訪ねてきた。
それから何度も何度も書き直し、先月校了し昨日本を手渡した。
取材で「本名で本を出すって、勇気がいるのでは?」という問いに、
「日々前向きに生きている自分自身のありのままの姿を伝えたい本なので、あくまでも本名です」と答えていた。
一冊の本を書き上げたことで、いっそう自信と力強さが備わったのだとうと思う。
スポンサーサイト