二冊の絵日誌

東京の偕成社・今村正樹社長から一冊の本をいただいた。
『1944-1945少女たちの学級日誌−瀬田国民学校五年智恵組』というA4判変型248ページ上製本。本体4500円の豪華大型本だ。
今村さんの手紙には、「御社が『疎開生活絵巻』という絵本を出されたと知り、早速一冊買わせていただきました。実は私どももつい最近滋賀県瀬田の国民学校5年生が残した絵日記をまとめた本を刊行したばかりでしたので、大いに興味を覚えたのです」と書かれていました。
そうです、今から70年前の小学生(当時は国民学校)の学校での日常を記録した絵日誌が残っていて、それに解説を加えて出版されていたのです。
小社の『疎開生活絵巻』と近い内容でした。
本の帯には「戦争に時代に、不思議な明るさを放つ絵日誌」とあり、
今村さんも「両方を見て感じたことは、あの戦時下でも子どもたちの感性は常に活き活きとしてポジティブな毎日を送っていたのだということでした」と手紙にコメントしてくださっていました。
まったく同感です。
本書をまとめた南大萱資料室の国松嚴太郎氏は「学級日誌との出会い」によると、「この学級日誌が今に残り、意外なほどに鮮やかな色彩を保っているのは、西川綾子先生が「学級日誌」を学校に置かず、自宅に持ち帰ったこと、その後の教員生活においても、そのまま陽にさらされることもなく、ふろしきに包まれたまま、自宅の押し入れで保存し続けたことがある」と、解説している。
『疎開生活絵巻』も同様で、著者の石田米子先生が、疎開先でかいた絵を段ボールのなかでそのまま入れていたため、あまり傷みもなく保存できたのだろうということだった。
同じような偶然のなかでこの二冊の本が生まれたのだなあと、ページをめくっている。
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