人はなぜ「自分史を書くのか」

先週の土曜日(17日)、岡山県立図書館で「自分史の書き方」と題してお話してきました。
参加されたのは30人。90分間ノンストップでしゃべったのですが、
とても熱心に耳を傾けていただき、ついつい熱がこもってしまいました。
参加者の方に伝えたかったのは、「個人の歴史であっても、それは地域社会の貴重な記録でもある」ということ、そして「自分史」という本をつくることが目的ではなく、「自分史をつくる過程を楽しむこと」という2点でした。
「どのように書いたらいいのか」という問題意識を持って参加された方にとっては、少し消化不良だったかもしれませんが、それを90分の講義で説明するというのは難しいかもしれません。
今回の講義にあたって、何冊かの自分史関係の本を読み返してみましたが、保阪正康『自伝の人間学』(新潮文庫)、穐吉敏子『ジャズと生きる』(岩波新書)、森まゆみ『抱きしめる、東京』(ちくま文庫)などが参考になりました。
なかでも『自伝の人間学』に、「昭和20年頃まで、日本には夜ごと地域の人たちが夜ごと集まっては、酒を酌み交わしながら(女性はお茶を飲みながら)、自らの半生を語りあっていた風習があり、現代では、それが文字かされる形式いなった」という意味のことが書かれたあり、私たちが自分史に向かう理由のようなものが、少し理解できたようにも思います。
人はだれも「語るべき人生」があり、「人生を書き残す」ことは、つまり人として当たり前の行為ということなのでしょう。
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