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コンテンツメディアの考えは

160424PR誌

JAFの会員なので、毎月「JAFMate=ジャフメイト」という会員PR誌が送られてくる。この号から表紙が変わり、岩合光昭さんお動物写真になった。ジャイアントパンダの顔が、愛くるしいというか、ちょっと哲学的なところがいい。
この小冊子(B5判68ページ)は、ドライブ情報や安全運転のための知識など、車生活にかかわるさまざまな情報、読み物で構成されていて、まじめに読むと役立つことも多い。もう十数年届けられているので、その編集にとても力が入っていることがよくわかる。届いてもすぐゴミ箱直行という冊子が多いなか、同誌は1年くらいは保存している。

1970年代から1980年代、ちょうどぼくがこの業界に入ったころ、こうした企業や団体のPR誌は輝きをはなっていた。
例えば、サントリーの『サントリークオータリー』、80年代の中頃から90年代のはじめ、書店で毎号買っていて、手元にまだ数冊は残っている。椎名誠や赤瀬川原平、佐野眞一、橋口譲二らの名前が目次を飾り、舞台や映画、音楽、美術、食文化、旅、本など、都会的でいてそれでもすぐ手が届きそうな文化にあふれていた。
季刊『iichiko』という雑誌も手元にある。発行は三和酒類株式会社、あの焼酎のいいちこの製造元だ。手元のNo.40は1996年夏号で、ちょうど創刊十周年記念号。特集が「文化科学の創造設計」と、こちらはちょっと小難しい。が、いいちこのテレビコマーシャルや時折見る新聞広告などのイメージの延長線上に小誌があることはわかる。
焼酎というかつては大衆的なアルコールの代名詞のようなお酒が、より幅広い層に浸透していった過程において、そのイメージづくりを担っていたのかもしれない。
この2誌に限らず、当時企業のPR誌は、商品などの宣伝よりも、その商品が求められるような「社会」や「文化」の醸成に力点がおかれていたようだ。もちろん、こんな雑誌を出したからといって、ウイスキーがどんどん売れたわけでも、どの居酒屋へいっても焼酎のいろんな種類が並んでいる時代がやってくるとうことではなかった。そのころ、ぼく自身もウイスキーは、3軒目のスナックで水割りを口にするくらいだったし、焼酎も〈ブーム〉となってからも、ほとんど口にはしなかった。
しかし、ウイスキーも焼酎も、80年代には、地道にこうした文化づくりが行われてきたことは記録に留めておきたい。それが、結果として今日のウイスキーブーム、焼酎ブームを再燃させた土壌となり、結果として企業の「業績」につながってきたのである。

文化をつくり、根づかせるには時間がかかる。即効性があるわけでもない。
公益財団法人福武教育文化振興財団の機関誌「不易」の編集や活動助成成果報告書など、同財団の広報、編集関係を手伝って10年近くなる。毎年フォーラム「ここで創る、ここで生きるー」のコーディネーターもやらせてもらっている。
このフォーラムでは、地域の文化活動、地域づくりのリーダーたちにいろんな話を聞いているのだが、根底にあるのは、「文化」が地域を豊かにできるのではないか、できるに違いないーということを、やっている人、やりかけて困っている人、そんなことあるの? と、思っている人たちと一緒に考えていこうということだ。
芸術や文化が活発になれば、それが地域振興につながると、単純には結びつけることは難しい。が、同財団は、地域の文化活動が豊かになることは地域が豊かになることにつながる―このことに確信を持ち、だからこそ、文化や教育でがんばっていこうとする人たちを応援、支援する。

今年はじめのフォーラムで、メインスピーカーの黒瀬氏(NPO法人バンク・オブ・アーツ/山陽ヤナセ社長)が、ルネスホール再生活用の取り組みを報告するなかで、「すてきな街、おしゃれな街にしたい。音楽を聴いて、おいしい食事を楽しめる、そんなホールが街には必要なんです。そんな街じゃないと、高級車は似合わないでしょ」
黒瀬氏はルネスホールにかかわった当時、高級ドイツ車を扱う山陽ヤナセの社長を引き継いだばかり。「社業に専念したら…」という批判めいた言葉に、「NPOの活動は趣味ですから」とかわし、まちづくりに奔走する。しかし、自身の事業とまったく無関係ではなかったわけだ。
黒瀬氏のなかでは、「文化的な街づくり」が、地域の経済の発展にちゃんと結びついている。
車を売ろうとする前に、そんな車の似合う街に―サントリーや三和酒類に通じる企業哲学を感じる。

JIA日本建築家協会中国支部岡山地域会と『おかやまと中国地方の建築家』(仮題)という本の出版を進めている。よくある建築家のカタログではなく、JIAという組織、そしてその会を構成する建築家と、私たち市民を結びつける「接点」となる本を、一緒につくっていきましょうと、今年に入ってスタートした。
昨日も担当メンバーの方たちと打ち合わせ。まず、市民に身近な建築に興味関心をもってもらいたい、そのためのコンテンツを考えようという話になった。いわば、JIA岡山地域会としてのコンテンツメディア、PR本となるが、JIA会員の広告本ではない。

最近、広報・PR分野では「コンテンツメディア」とか「コンテンツマーケティング」という言葉を耳にするようになった。業界的には、興味関心のある話題をWEB上に提供し、コミュニティ化を図ることで、自社の商品開発や販売促進につなげていこうというもの。有名なところでは、不動産情報サイト「SUUMO」とか「コカ・コーラ」のサイトがある。
WEBの時代は、これまでのマスメディア中心の広告主体から、コンテンツメディアへの移行が拡大していくだろうと予想されている(総務省「情報通信白書平成23年版」)。

こうした流れは、かつてネットがなかった時代には、PR誌が担っていた役割が、コンテンツメディアに変わってきたのではないかと思う。
PR誌は、金銭的、時間的余裕がなければ、企業としては、なかなか手を出しづらい。WEB版PR誌つまりコンテンツメディアは、いい編集者さえいれば比較的早く取り組みやすく、写真やモデル選びに紙版ほどかからない。SNSなどとの連動で広がりやすく、同じ志向をもつ人々とのコミュニティも形成されやさすい。

重要なのは、いずれにしても、コンテンツのその中味であり、継続することである。また広報プラン全体を考えたとき、コミュニティデザイン、メディアデザインが必要になってくる。
ホームページの開設、SNS、メールマガジン、チラシ、ポスター、PR誌、本、コンテテンツメディア、動画配信、CM、広告…とあり、こうしたメディアを、その対象や目的に応じて、無駄なく、しかも一貫性をもって、トライ&エラーを繰り返しながら継続することが重要だと思う。
効率化を図ろうと、広報プランの見直ししていたら、よく「かえってやることが増えた」という声を聞くケースがある。が、それは今まであまりにも無関心であったことの反動かもしれない。長いスパンで理念を貫くためには、広報・PR部門では「メディアデザイン」という考え、言葉が必要になってくる。
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プロフィール

kibitopub

Author:kibitopub
山川隆之
編集者、吉備人出版代表。1955年岡山市生まれ(旧姓・長井)。岡山市立操南小学校—倉敷市立大高小学校から、倉敷市立南中学校・県立天城高校・三重大学農学部卒業。伊勢新聞記者、備北民報、生活情報紙「リビングおかやま」編集長を経て95年に株式会社吉備人を設立。『絵本のあるくらし』『おかやまの建築家』『のれん越しに笑顔がのぞく』『粘着の技術−カモ井加工紙の87年』『強く、やさしく、面白く』などの編集を担当し、吉備人出版としてこれまでに23年間で約630点を出版。日本出版学会会員、デジタルアーカイブ学会会員、岡山ペンクラブ会員。2012年に福武教育文化賞奨励賞、2013年に岡山市文化奨励賞(学術部門)を受賞。RSKラジオ「ごごラジviviっと!」ゲストパーソナリティー。著書に『岡山人じゃが』(共著)など。

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