力をもらえる言葉「もう一つの最前線」
このところ毎日取材に出ている。
取材を伴う本づくりが多いのだから、当然といえば当然。
話を聞いて、原稿にまとめ編集する。著者がいて、原稿を受け取り編集するというより2段階(取材・インタビュー/原稿執筆)作業が加わるので、必然的に本が出来上がるまでに時間がかかる。
が、取材(人の話を聞く)は楽しく、刺激になる。
先日もとてもいい話し、力をもらえる言葉を聞くことができた。
建築家、神家昭雄建築研究室の神家昭雄さんに話を伺ってきた。
主に住宅建築を中心に数多くの賞も取っているベテランだ。
古民家再生工房のメンバーのひとりで、日本の伝統的な住宅建築の手法や技術を生かした、細部まで美しい家をつくる。
その神家さんの言葉。
「妹島さんや西沢さんのようなアバンギャルドな最前線の建築に注目が集まるが、ぼくはもう一つの最前線があると思っている。それは、フツウの材料を使って、フツウの工法で、フツウを超える建物をつくること。これがもう一つの最前線で、ローカルで建築をしているぼくは、こちらの最前線を走っていきたいと思っている」
〈フツウ〉というとつまらないものというふうに聞こえるかもしれないが、とても大事なものだと神家さんは言う。
神家さんのその言葉を聞いて、「そうそう、ぼくもそうありたいと思っている」と心の中で頷いた。日本の出版業界ではまったくの「辺境」で本を作り続けている、ぼくたちの仕事は、世間ではほとんど注目を集めることはないかもしれないが、〈もう一つの最前線〉になり得るかもしれない。
ローカルで、ちゃんとローカルに在ることを自覚して仕事をしている人の話を聞くと、力をもらえる。
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