取材力、編集力が試される社史づくりが好きだ

一昨日(10月26日)付けの朝日新聞に「社史づくり未来の力に」という全ページの記事が掲載されていた。
朝日新聞の自分史サービスに「社史サービス」というものがあり、そのPRを兼ねた記事だが興味深いものだった。
その中で、神奈川県立川崎図書館が、1万8000点の社史、周年史を所蔵していて、「社史室」を設け一般公開しているという。
一般の人には縁のなさそうな社史をなぜ公開するのか。
「読み方次第ではいろいろな発見があります。(中略)実は地域の歴史を知るのにも役立つのです。また、テーマを設けていくつかの社史を横断的に見ると、ビジネスや防災対策などのヒントがえられます」(司書・高田高史さん)
まったく同感。
この数年、年に数冊ずつ社史編纂の仕事をいただけるようになった。
これまでに岡山ガス100周年記念史、下津井電鉄100周年記念史、瀬戸桜保育園90年史、カモ井加工紙87年史、丸五ゴム工業の60年史、ダイヤ工業50年史、備南工業50年史、おかやま工房30周年史、アルマ経営研究所30年史などにかかわってきた。
規模や業種はさまざまだが、企業の歴史の背景には、世界や日本、そして地域の歴史と密接にかかわっていると感じることが多々ある。
今年も6月から蜂谷工業の100周年史編纂をお手伝いしている。100年といえば、日本の総合建設業創世から戦後の急速な発展、バブル崩壊、リーマンショック後の低迷、そして再浮上の兆し……。とかく談合や政治との癒着など社会から叩かれることの多い業種だが、経営トップやOB社員の方、現場の一線で頑張っている所長さんらの話を聞いていると、地域づくりやインフラ整備に、真剣に向き合い、情熱を傾けていることがよくわかる。
しかも、社史には書きにくい話もたくさん出てきて、下手な小説よりもよほど面白い。
文献や資料探しからその読み込み、関係者やOBの方々への聞き取り、インタビュー、写真撮影……取材力、編集力の問われる仕事だけに、「社史」の仕事は面白く、楽しいことが多い。
そして、企業側の担当者の方々とは、長期間にわたって共に苦労するからか、気心の知れたいい関係になることができるそれもまた社史の仕事の魅力でもある。
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