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小さな地方の編集・出版社にも新型コロナウイルスの影

2020年4月10日
昨年暮れに話があり、今年度から取材・原稿執筆がスタートする予定だったある団体の記録誌が、この新型コロナウイルス感染の影響を受けて、いったん中止したいとの連絡が昨夜入った。
アジア圏との関係が大きいところだっただけに心配していた矢先だったので、やむを得ないし、むしろ事業の継続に影響が出ないか、そちらが心配だ。
この間、いろんな人から「影響はないですか?」と尋ねられ、そのつど「いまのところありませんが、今後どうなるか分からない不安が大きい」と答えてきた。
今週に入り、東京の書店の休業のことを知り、制作を手伝っている会報誌が5月号休刊(9月に合併号)などの連絡が入り、ちょとずつ影響が出始めたものの、正直なところさほどの切迫感はなかった。
しかし、今回のこの記録誌は外部のライター(フリーランス)に依頼し、1年かけて本格的なドキュメントとして書いてもらう予定だったし、数百万円という編集制作のための予算も組んでもらっていた仕事だっただけに、電話口では「仕方ないですね。うちのほうのことは気になさらないでください」と言ったものの、電話を切った後、なんともいえないザワザワっとした感じが胸の中に湧いてきた。
株式会社とはいえ、総勢5人の小さな組織。
社会情勢が不安定、生活不安が長引き、本づくりの依頼などが止まれば、フリーランスの人たちと同様たちまち厳しい状況に追い込まれることは想像できる。
今回のように、吉備人の回りで一緒に仕事をしているライターやデザイナー、校正者、カメラマン、印刷・製本会社への仕事依頼の影響も避けられない。
地方で本づくりをしながら、本づくりにかかわりながら生きていけるように、25年かけてやっとかたちになってきたのだ。
新型コロナウイルスなどに負けられないな、と。
今日も事務所の窓を全開にして、こんな静かな時期だからこそできることを少しずつやっていこう。
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プロフィール

kibitopub

Author:kibitopub
山川隆之
編集者、吉備人出版代表。1955年岡山市生まれ(旧姓・長井)。岡山市立操南小学校—倉敷市立大高小学校から、倉敷市立南中学校・県立天城高校・三重大学農学部卒業。伊勢新聞記者、備北民報、生活情報紙「リビングおかやま」編集長を経て95年に株式会社吉備人を設立。『絵本のあるくらし』『おかやまの建築家』『のれん越しに笑顔がのぞく』『粘着の技術−カモ井加工紙の87年』『強く、やさしく、面白く』などの編集を担当し、吉備人出版としてこれまでに27年間で約780点を出版。日本出版学会会員、デジタルアーカイブ学会会員、岡山ペンクラブ会員。2012年に福武教育文化賞奨励賞、2013年に岡山市文化奨励賞(学術部門)を受賞。RSKラジオ「ごごラジviviっと!」ゲストパーソナリティー。著書に『岡山人じゃが』(共著)など。

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