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「お疲れさま」の白蒸し

午後、吉備津の薬師寺慎一宅へ『吉備の古代史事典』を届けに行く。
いつも原稿の打ち合わせをする玄関を入ってすぐの応接で、クラフト紙の包みを開ける。
緊張の瞬間。
「思ったより厚いなあ」
「きれいな表紙になった」
ページをめくりながら、写真の上がりなどをチェックする。
前作で写真に問題があったので、念入りだ。
印刷会社の社長からも「いい本に仕上がった」と連絡が入ったことを伝える。
ページをめくる間隔、手触り、糸かがりの製本…合格点をもらう。
扉にひと言書いて、名前と日付をいれなさいと言われる。
そんなことを言われるのは初めて。
「無事できあがってホッとしています。お疲れさまでした。」と書いて、日付とサインをした。
そして二人並んだところを、奥さんに写真を撮ってもらった。
できあがった本を持っての記念撮影。
これまで吉備人出版としての第1作『楯築遺跡と卑弥呼の鬼道』から始まって8冊目だが、
こんなことも初めてだ。
項目の選定、原稿を書き始めて2年以上たっている。
書いても書いても、この項目も加えなければと出てくる。
それでも、そうやって新たに加えられた項目で、どんどん著者らしい視点が加わってくる。
吉備人出版としてこれまで440点を刊行してきたが、記憶に残る一冊になりそうだ。
帰りに奥さんからお疲れさまでしたと、「白蒸し」を頂いた。
この日、このときのためにつくってくれたそうだ。

肩に入っていた力がすっと抜けたような気がした。
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プロフィール

kibitopub

Author:kibitopub
山川隆之
編集者、吉備人出版代表。1955年岡山市生まれ(旧姓・長井)。岡山市立操南小学校—倉敷市立大高小学校から、倉敷市立南中学校・県立天城高校・三重大学農学部卒業。伊勢新聞記者、備北民報、生活情報紙「リビングおかやま」編集長を経て95年に株式会社吉備人を設立。『絵本のあるくらし』『おかやまの建築家』『のれん越しに笑顔がのぞく』『粘着の技術−カモ井加工紙の87年』『強く、やさしく、面白く』などの編集を担当し、吉備人出版としてこれまでに23年間で約630点を出版。日本出版学会会員、デジタルアーカイブ学会会員、岡山ペンクラブ会員。2012年に福武教育文化賞奨励賞、2013年に岡山市文化奨励賞(学術部門)を受賞。RSKラジオ「ごごラジviviっと!」ゲストパーソナリティー。著書に『岡山人じゃが』(共著)など。

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