原由美子の仕事

スタイリストは女性雑誌ではよく目にするクレジット。中でも原由美子の名前は、女性雑誌をほとんど読まないぼくでも知っている。
1970年代のはじめから「アンアン」や「クロワッサン」などマガジンハウスの女性雑誌を中心に活躍してきた。女性雑誌なのに、なぜかその名前だけはよく目にしたような気がする。
その原由美子が、自伝的な本を出している。
『原由美子の仕事−1970→』(原由美子/ブックマン社)。
値段は本体3619円、税込みだと3800円。
A5判、上製本、379ページ、カラー写真もふんだんに、年譜や参考資料、脚注もしっかりつくり込んでいるのだから、まあこの値段も仕方ないか。
ちょっと高かったので、一度手にして、あきらめて、やっぱりと思い直して1カ月後に買った。
思い直して買ってよかった。
スタイリストなどという言葉がまだなかったような時代。
本場「ELLE」のファッションページの「レアリザッシオン」(構成)というクレジットに出合い、それを目指す著者。
スタイリストの仕事についてわかったというより、スタイリストがファッションの編集者なんだということが、この本でよくわかった。
しかも、原由美子の仕事の変遷は女性雑誌の変遷ともいえるような幅広さだ。
何より仕事の記録として紹介されている写真が美しく、色あせていない。
淡々と、決してウケを狙っていない文章は、見た目派手なファッションの世界との対比になっていて、いい。
一つの世界をつくりあげた人物の、仕事をまとめた本には刺激を受ける。
自伝、評伝、回想録……読むのも、編集するのも楽しい。
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